【0001】PIZZICATO FIVE“OVERDOSE”
普段テレビを見ない生活を送っているが、人の勧めがあれば別だ。
夜中に仲間のLINEから、Eテレを見るよう勧めがあった。
サブカル史の渋谷系特集。懐かしさがこみあげてくる。
過疎化の進んだ海と山だけが自慢ともいえる田舎町で18歳まで過ごした。
長時間のバスに揺られながら、ほんの少しの現金と母が手作りしたおにぎりをもって
札幌に買い物に行くのが田舎ではステータスだった。
札幌ですらあこがれの塊だったが、修学旅行で東京に行けるとなった時には
舞い上がって仕方がなかった。
OliveやCUTIEなど、雑誌に出てくる世界。
PIZZICATO FIVEをウォークマンで繰り返し聴きながら、古びたホテルから
東京の夜空を眺めた。“OVERDOSE”は修学旅行のテーマソングだった。
音楽はもちろん大好きだったが、野宮さんの独特のファッションに自由を感じていた。
着たい服をしたい髪型とメイクでめかしこんで、いいんじゃない?
田舎で雑誌越しにしか世界を知ることのできなかった頃の自分には
女神のように神々しかったのを今でも覚えている。
「いいんじゃない?」その歌声は自由を教えてくれたんだったな。